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続・青春VAN日記136

ケント社の巻 その1021988年冬)社の巻

<秋の日のヴィヨロンのため息④(おまけ)>


<夫婦>

まだ若かった頃、さだまさし氏の「関白宣言」の歌が流行った。
この歌は、結婚を目前にした男が女性に向けて“亭主関白”の宣言をしつつも、自分の弱さ脆さや相手への依存心をのぞかせてしまい不器用な愛情を吐露してしまう、という純情な男の歌であったが・・、巷では、その歌詞に対して女性団体などからは“男尊女卑”、だ “女性差別”だ!・・等と、いろいろな批判が起こった。
しかしながら、この歌はまぎれもなく昭和の男女の結婚観を代弁していた。

さて、新婚時代には物珍しさもあり、痘痕もえくぼに見えてしまう何の問題も無い、幸せいっぱいの仲の良い夫婦であっても・・・、次第にメッキが剥がれ、我儘が出始めて、やがて食べ物の味付けから趣味嗜好ファッション感の違い、風呂やトイレの使用法に至るまでのお互いの生活習慣の違い、子育てや教育方針の違い等々・・、さまざまなお互いの価値観の相違が出始めて、次第に波風が立ってくる。

・・・これも、自己中心 の“人間の性”であろうか。
万物に、変化しない物などは無い。永遠などいう事は有り得ない。

いかなる保全・修理を施しても、風化・消滅は避けられない。
特に女心は秋の空だ。盛者必滅・万物流転・因果応報・諸行無常。

そんな浮世に“利”よりも“義”に生きる人間は少ない。

・・・恋人時代には互いの甘い言葉に酔いしれ、こんな心やさしい青年がまたとあろうか・・、これほど優しい可愛い女性はいないと思えていた人が・・、いざ結婚すると、横暴亭主やズボラ主婦に変身する事が少なくない。
これも、“人間の性”というものだろうか・・・。

「愛とは、求める事では無く、与える事である。」
そんな清廉な心は、いったい何処に消えてしまうのだろうか。
・・それとも人間は全員が結婚詐欺師なのだろうか?


さて、当作文は男目線の文章ばかりが続いたので、今回は女性目線からの、約束違反する“夫”の姿を書いてみます。


<夫の結婚前の約束と結婚後の違い>

  ①結婚前の彼の言葉
  「週末には花を買って君の待っている家に帰りたい」

   結婚後の彼の行動
  「パチンコで取ったチョコレートを二度ほど持って帰った」



  ②結婚前の彼の言葉
  「ぼくは不潔が嫌いだ。ご飯に髪の毛一本でも食欲が無くなる」

   結婚後の彼の行動
  「トイレにいっても手を洗わない。下着も注意しないと着替えない」



  ③結婚前の彼の言葉
  「結婚して何年たってもボクら夫婦はロマンチックでありたい」

   結婚後の彼の行動
  「私の前でも平気でオナラをする。どこがロマンチックなのよ」



  ④結婚前の彼の言葉
  「新婚旅行は国内だが、2年以内に君を欧州に連れていこう」

   結婚後の彼の行動
  「親戚の葬式で仙台に連れて行っただけ。欧州でなく奥州だった」



  ⑤結婚前の彼の言葉
  「僕は自然が好きだ。君を連れて釣りに行きたいものだ」

   結婚後の彼の行動
  「釣った魚に、餌はやらないものだ」



  ⑥結婚前の彼の言葉
  「僕の友人は皆、知的で上品な連中ばかりだ。僕は友人を選んでいる」

   結婚後の彼の行動
  「友人は皆、礼儀知らずのマージャン・競馬キチガイの連中ばかり」



  ⑦結婚前の彼の言葉
  「年をとっても結婚記念日にはお洒落なレストランで食事しよう」

   結婚後の彼の行動
  「結婚記念日?人生の墓場に足をつっこんだ記念日か?」



  ⑧結婚前の彼の言葉
  「月給は全て君にわたす。僕の金はぜんぶ君のお金だよ」

   結婚後の彼の行動
  「ボーナスはインチキする。出張旅費はネコババする」



  ⑨結婚前の彼の言葉
  「僕はいつも本を読み、文学に親しむ男を心掛けているんだ」

   結婚後の彼の行動
  「読んでいるのは、競馬新聞か東スポか二流週刊誌ばかり」




・・・ああ、キリが無い。
いったいどこの誰が君を幸福にするよって言ったのよ?
いったい誰がこんな不幸な私にしたのよ!
・・こんな事なら、あの頃にお付き合いしていた・・多少貧乏で頑固者だったけど・・、真面目で嘘をつかないトラッドの彼にしておけば良かったかも・・。



(・・時は巡って2015年の今、日記原稿を書いているとBGMFM放送から、懐かしい南こうせつの「神田川」のメロディが聞こえて来た・・。

♪あなたはもう忘れたかしら・・・一緒に行った横丁の風呂屋
赤い手ぬぐいマフラーにして・・・石鹸カタカタ鳴った・・・。

ああ、俺にもいろんなことがあったなあ・・。
SPILT MILK! 過ぎ去った青春は、もう二度と戻らない・・。)


・・夫婦なんてものは、けんかはする、相手をコノ野郎と思う。
どうしょうもない男だ、と考える。
なんでこんな男を一生の伴侶に選んだんだろうとも思う。
でも、結局は自分で選んだ人生だから、誰のせいでも無い。

・・あたし以外の女じゃ、この人の世話はできないんだろうな。
窓の夕焼けを見ながら妻がそう考えている時、夫は夫で、おれはこの妻でまあ良かったんだなあと納得する。

そんな毎日毎日が続いているのが夫婦なのかもしれない。
そして20年経って、そして40年経って・・・。

二人は老人になる。平凡な老人夫婦になってゆく。

・・・私は最近、ウオーキングに通う公園で・・・、老人夫婦が二人でひなたぼっこをしながら、じっとベンチに座っているのを見ると、妙に涙が出て来る事がある。

おじいさんとおばあさんが、お互い口にこそ出して言わないが、心の中でしみじみと長かった夫婦の歴史をかみしめながら、秋の午後、公園の日だまりのベンチにじっと座っている。いろんなことがありましたねえおじいさん。そうだねおばあさん。

・・・これが夫婦なのだ。
無数の男女が結婚する中で、ここまで到達できる夫婦は稀である。
いわば“夫婦の完成の姿”である。

成功とは、我慢と忍耐を成し遂げた者だけが手に入る報酬である。

こういう夫婦を理想的な夫婦といわぬなら何をさして夫婦というか。
・・そしてある日、おじいさんは先に死んでしまった。
するとおばあさんは急にガックリした感じになって、縁側にしゃがんだまま一日中、じっと庭木を見ている。

時々ブツブツとじいさまの悪口をつぶやき、お経をあげている。
そして三ヶ月後、
ある朝、家族がこのおばあさんを起こしにいったところ、彼女は、誰にも知られぬうちに眠るように息を引き取っていた。

みんなは顔を見合わせて言った。
「おばあちゃんはおじいちゃんの後を追うようにして逝っちゃった」


故郷岡山で学生時代に知り合い、駆け落ちのように二人で上京し、戦中・戦後の人生3度のどん底生活を二人で協力して乗り越え、70年間を越えて見事に夫婦添い遂げ、そしていっしょに天国に召されていった我らが師・石津謙介先生の夫婦生活完成の御姿。

これを、人生の達人と言わずして、何と言うのであろうか。

石津先生御夫妻こそは、私の理想の御夫婦であった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく




“VAN SITE”ZOKU-SEISHUN VAN NIKKI 136
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