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下は1966年、VAN Chop Spring & SummerカタログVol,1です。
サイズはB4版と大きく、紙質はアート紙です。

各ページには、アイテムを解説する製作意図などのコメントが短く載っています。
この文章(まだ世の中にコピーライターなどという職業が無かった時代に書かれたコピーです。)をじっくり味わってみてください。

今から42年前の感覚が甦えり、何かフワッとした柔らかさのような、またファッション黎明期の若さのようなものを感じるのは、私だけでしょうか。




このページに石津謙介社長のサイン入りコメントが掲載されています。内容は以下の様なものです。
  
  はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『 冬は長袖、夏は半袖。
  冬は街では背広、郊外ではジャンパー。
  外では新調、家庭では古着。
  ただばく然とこんな習慣にとらわれていませんか。
  男の服装で一番大切なことは、対人関係というものの中に生まれた社会的なルールを守らなければ
  ならぬ場面と、自分自身の自由な時間とを区別して、どのように着わけるかという事だと思います。
  これが身だしなみとおしゃれの違いです。
  おしゃれといわれる装いの中では、一人一人が違っているのが当然なのです。
  そこに個性が生まれ、楽しさがつくられるのです。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  いつも気どった服装の人は思いきり開放的に。
  反対に気楽な服装の好きな人でも、ときにはすましこんだ装いをする。
  おしゃれにはこんな変化をもたせることも大切です。
  いわば、すすんで習慣を破っていく積極的な感度がほしいのです。
  とかく、ひかえめになりがちな冬の服装から脱皮して、春から夏へのシーズンこそ、
  明るく活発な服装へ大きく飛躍したいものです。
  そんな楽しい気分を満喫していただくために、私たちの積極的な意気込みをお目にかけようと、
  このカタログ・ブックを企画しました。
  今後とも、シーズンごとに皆様の服飾プランに役立たせていただけるものをつくってゆくつもりです。』 
                                                 石津謙介 



SUMMER JACKET

●スポーツジャケットは気軽に着よう

夏の明るさを反映してか、サマー・スポーツ・ジャケット、ブレザーは歳を経るごとに、
色は明るく、柄は大胆になってきています。
今年はその傾向がますます強く、色、柄の楽しさや明るさが特に目立ちます。
スポーツ・ジャケットやブレザーは、どちらかといえば遊び着だとの考えが徹底してきたためでしょう。

代表的な素材は、夏のマテリアルとしてすっかりお馴染みになったインディア・マドラス、シアサッカー、バティック・プリントなど。
スタンダードな色や柄はオーソドックスなスタイルのジャケットに、新感覚の生地はコンチネンタル・ムードのコンテンポラリー型にと、それぞれのそざいのもち味やこせいを生かす工夫がなされています。

これらのスポーツ・ジャケットは、ビジネス・ウェアではないのですから、何もかた苦しい思いをして着る必要は有りません。ユカタを着る気持ちとはいかないまでも、リラックスしたムードで気軽に来ていただきたいものです。




KNIT WEAR

●素肌に着る。それが夏のニットです。

夏のニット・ウェアは男のものです。
若くたくましい身体で、素肌に触れるその感触を楽しんでください。
したがって、サマー・ニットに必要なことは、吸湿性がすぐれていること、洗濯が簡単なことそして活動しやすいという3つの点です。
素材としては、コットンライクなものとウールライクなものの2つがあります。

コットンライクなものは若さを強調する楽しいデザインに、ウールライクなものは落ち着きのある男らしさをつくるデザインというのが基本的な考え方です。
今年はデザインも色も、ぐんと巾をひろげて、VANのニット・ウェアに対するイメージをさらに飛躍させていただこうと意気ごんでいます。




JUMPER

●ジャンパーはシンプルなデザインを

ジャンパーはもはや防寒着や作業着ではありません。機能性にあふれたお洒落着です。
夏のジャンパーには特に遊びの雰囲気が重視され、楽しみながら着られるようにデザインされています。
ビーチ・ウェアとしては、インディア・マドラスのフードつきビーチパーカーや、ビニールコーティングをした本格派のヨットパーカなど。
避暑地ではシャツ地を使った軽いもの。オーソドックスなゴルフ・ジャンパーは通学にも着て行けるなど。用途もひろく、種類もバラエティに富んでいます。




SPORT SHIRT

●今年はストライプの進出が目立ちます

昨年はインディア・マドラスが大流行したスポーツ・シャツの分野も、今年は色や柄が豊富になり、しかも明るく、大胆な方向になってきています。特に目立つのは縞柄の進出で、キングストン・トリオがずっと着ているような、巾広の活動的な感覚が印象的です。

このように今年のスポーツ・シャツは、流行を追うというより、数多いコレクションの中から、自分の好きな色、気に入った柄を選ぶという方向に進んでいます。




SWIMMING SHORTS

●“泳ぐ”から“海で楽しむ”へ

昨年トップレスでさわがれた女性の水着に、今年はラメが登場しましたが、これほど実用性のないものとはいかないまでも、男のスウィム・ウェアの分野でもただ泳ぐだけが目的ではない水着、着て楽しむ水着がでてきました。
型はボクサー・スタイルのトランクスやサーファーと呼ばれる股下のやや長めのものなどが主流です。素材としては機能的なエラスティックをはじめ、マドラスやサッカーのシャツ地からウェザーやバーバリーなどのコットン地が使われています。
66年VANのニュー・モデルとしては、独特のアイデアで開発したレジメンタルストライプによるスウィム・ショーツを発表します。




BERMUDA LOOK

●スポーティにもドレッシーにも着こなせる、男専用のリゾート・ウェア

バーミューダ・ルックが1点も含まれていないヤングマンの夏のワードローブなど、とても考えられなくなってきました。
大西洋に浮ぶ島。世界でも有数のリゾート、バーミューダ島を発祥地とする、このスマートなリゾート・ウェア、バーミューダ・ショーツとの組み合わせは、TPOを考えてスポーティなもの、ドレッシーなスタイルをハッキリ分けることです。
スポーティな場合は、気が向けばそのまま海にとび込めるぐらい思いきったものを。
例えばシャツを携え身につけていれば、他に何もいりません。
逆にドレッシーに着こなすときは、ディナー・ジャケットにボウ・タイぐらいまで凝ってもかまわないのではないでしょうか。




COTTON SLACKS

●ウォッシュ・アンド・ウェア時代に入ったコットン・スラックス

コットン・スラックスのもち味を最高に生かせるものは質といってよいでしょう。
夏の太陽とコットン・スラックスのもつ感動的な輝きがよくマッチします。
海や山に行くとき、むりしてウールのスラックスをはく必要はまったくありません。
コットン・スラックスでおし通してください。この夏の話題はテイパードとパーマネント・プレス。
これでまた魅力がふえた感じです。

テイパード・スラックスとは、先細りスタイルのこと。ヒップからすそ口にかけてしぼり、足を長く、スマートにみせるようにデザインされています。
パーマネント・プレスは話題の新製品、水で洗ってもしわになりません。
これでコットン・スラックスも完全なウォッシュ・アンド・ウェア時代に入りました。




SUIT

●スーツの色に季節はなくなりました

ビジネス・スーツにかぎっては、夏だからといって、明るい色のものを着る必要はまったくありません。
ビジネス・ウェアとしての性格を考えれば、当然ことといえましょう。
もちろん、生地はウールでも、軽くて涼しいトロピカルや、いまや夏のスーツ地としてスタンダード化しつつあるテトロンや、ダクロンなどが使われます。
またこれとは別に、サマースーツと呼べるようなライトなものもあります。ベビー・コードだとか、コットン・ポプリンなどがそれで、こちらは色の明るい、いかにも夏らしいものです。
アイビー・モデルはもちろんのこと、他にアメリカン・ナチュラル、ブリティッシュ・ラインのサイドベンツのものなども相当数含まれています。




SLACKS

●この夏はノー・ベルトが主流です

シャツ・スタイルになることの多い夏はとくにスラックスが目立ちます。
すっきりした身体のラインを見せるためにも、サイズのよく合ったものを選ぶべきです。
今年のようにノー・ベルトが多くなってくると、このサイズと仕立ての問題はさらに重要になってきます。
素材は軽くて涼しい、夏向きのトロピカルやポプリンなど、また、夏は汗による汚れがはげしく、洗濯を何度もしなければならないので、ポリエステル系のスラックスが重宝なことはいうまでもありません。

とかくダークな色になりがちだったスラックスも、ことしは明るい色への傾向が強くでてきています。




MISCELLANY
●意識的に目立たせることはありませんが・・・・・・・

主役と脇役がはっきりしている秋から冬にかけての服装に比べ、春から夏にかけては、服装全体が主役をつとめるような形になってきます。
それだけに、夏のアクセサリーには細かい神経をくばらなけれはなりません。
アクセサリーの一つ一つに、夏という季節に合ったスポーティーなものを選び、それをうまく服装全体にとけこませて見せるテクニックが大切なのです。




DRESS SHIRT
●背広の脇役ではありません

昔、江戸っ子は下着にこって粋がったとか、しかし、現代のダンディは長袖のドレス・シャツを着て本格派を誇ります。
もちろん、ショート・スリーブがいけないというつもりはありません。夏の暑さと、日本の湿気を考えれば、ごく当たり前のこと。むしろ、このスマートなシャツに感謝すべきでしょう。

背広のタイプに合わせて衿型をきめるのも、配色を考えて色で選ぶのも、楽しさを柄に求めるのも
ドレス・シャツの着こなしの大切なコツです。
ワイシャツという古くさい考えをすてて、新しく男の服装の重要な分野に進出したドレス・シャツが
夏こそその真価を発揮するときだと思います。










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