▼2018年6月12日(火)
今日は史上初の米朝首脳会談がシンガポール、セントーサ島で行われた。
その結果は、何のことはない各問題解決の為の具体策が一つも合意文書に記載されずじまいに終わった。なので今のところTRUMP & KIM劇場の主役初顔見せといった雰囲気に終始した感じだ。
会談前の期待値とは裏腹に、泰山鳴動してネズミも出なかった・・・?といったところか。
さて話は国内にもどって、
今やポスト・トゥルース、フェイク・ニュース、オルタナ・ファクト、などのいわゆるニセ情報、不可解極まるもう一つの真実などが公然とまかり通る世の中になってしまっているが、我が国の国会でも正鵠を射た議論が交わされる事が少なく、内容の置き換え、すり替え、はぐらかし、さらに都合の悪い事には個別の案件には応えないと言った、まことに応える側の都合次第でいかようにでも変幻自在、というよりハッキリ言ってまやかし議論が多発している有り様。
そんな中、法政大教授の上西充子氏がTwitter上で名付けた 「 #ご飯論法 」 がいろいろなメディアで取り上げられているのでご紹介します。
まずはYahooニュースから
上西氏曰く、
● 「#ご飯論法 」 とは
意図的な 「 論点ずらし 」 や 「 はぐらかし 」 などの不誠実な国会答弁の手法。
加藤厚生労働大臣の答弁を、上西が 「 ごはん 」 → 「 ご飯 」 の論点ずらしにたとえてツイートし、ヤフーの記事で広めたところ、紙屋高雪氏が 「 ご飯論法
」 の言葉と共に紹介。
上西が 「#」 をつけて拡散した、 と。
具体的には例えば ( 以下上西氏 )
質問 : 「 朝ごはんは食べなかったんですか? 」
返答 : 「 ご飯は食べませんでした
( パンは食べましたが、それは黙っておきます )」
「 朝ごはんを食べたか 」 と問われたとき、誠実な答え方は、
●食べましただろう。
しかし上記で回答者は、「 朝ごはん 」 を食べたかを聞かれているのに、「 食べた 」 とは答えたくないので、「 ご飯 」 を食べたかを問われているかのように論点をすり替えた上で、 ●ご飯は食べませんでした
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と答えている。
実際には 「 ご飯 」 ではなく 「 パン 」 は食べていたのだが、それは答えない。
尋ねた人は、「 朝ごはんを食べなかったんだな 」 と思うだろう。不誠実な答え方だ。
ちょうどそういうやりとりが、野村不動産への特別指導の背後にあった過労死の事実認識をめぐって、行われている。
野村不動産に対しては、昨年の12月25日に厚生労働省東京労働局が、裁量労働制の違法適用があったとして異例の 「 特別指導 」 を行い、その指導の実施を翌日の12月26日に記者会見で記者に伝えていた。
しかし、実際にはその背後に、裁量労働制を違法適用された社員の過労死について、労災の申請と認定があり、新宿労働基準監督署による労災認定の日は、「 特別指導 」 の翌日、まさに記者会見で 「 特別指導 」 が記者に伝えられた、その日だった。
そのことは今年の3月4日(日)に朝日新聞が独自取材により明らかにした。
●裁量労働制を違法適用、社員が過労死 野村不動産:朝日新聞デジタル
(2018年3月4日)
そのため、過労死が起きたことを知っていながら、それを伏せて、裁量労働制の違法適用をきちんと指導したかのように国会で安倍首相や加藤大臣が答弁していたのではないか、という問題が、翌日から国会で問われることとなった。
安倍首相や加藤大臣は、過労死や労災申請・労災認定を答弁より前に知っていたのか。
それが追及の焦点だった。
その3月5日(月)の参議院予算委員会で、石橋通宏議員の質疑に対し、安倍首相と加藤大臣は、こう答えている。
●石橋通宏議員
日曜日の朝日新聞の朝刊一面トップ、裁量労働制、野村不動産の裁量労働制、まさに昨年末に発表された、問題となった違法適用、この対象になっていた労働者の方、50代の男性社員( が )、2016年9月に過労自殺をしておられた。
昨年、ご家族が労災申請をされて、まさに特別指導の結果を( 東京労働局が )公表された12月26日、その日に労災認定が出ていたということです。総理、この事実は、ご存知でしたね?
●安倍首相
( 略 ) これは、特別指導についてですか? 特別指導について、報告を受けたということですか?特別指導については報告を受けておりましたが、今のご指摘については、報告は受けておりません。
●石橋通宏議員
安倍総理は報告を受けていなかったと。
加藤厚労大臣は、もちろん知っておられたんでしょうね?
●加藤厚労大臣
それぞれ労災で亡くなった方の状況について、逐一私のところに報告が上がってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません。
●石橋通宏議員
知っておられなかった、と。この事案。
そうすると、これだけの深刻な事案がまさに、裁量労働制の適用労働者に対して発生をしていた。労災認定が出たわけです。( 以下、略 ) |
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さて、ここで加藤大臣は何を答えただろうか?
石橋議員が 「 知っておられなかった、と。この事案 」 と確認したのに対して、
加藤大臣は、「 いや、そうではなくて・・・ 」 と、訂正はしていない。
普通に聞けば、「 承知をしておりません 」 と答えているのだから、知らなかったと答弁した、と受け取る。
翌日の新聞各紙もそのように報じた。
●厚労相 「 当時、承知せず 」 野村不動産の過労自殺認定 「 認識いつ 」 野党追及:朝日新聞デジタル( 2018年3月6日 )
しかし、改めて野党が追及していくと、この答弁は、野村不動産における過労自殺について、知らなかったという答弁ではなかった、ということが明らかになった。
野村不動産における労災申請については、個別の事案についてはお答えできないと、その後、加藤大臣は、説明を拒み続けた。
では、「 承知をしておりません 」 とは何を承知していない、という答弁だったのか。
よく見ると、加藤大臣の答弁は、
● 「 それぞれ 」 労災で亡くなった方の状況について、「 逐一 」 私のところに報告が上がってくるわけではございません。
● 「 一つ一つ 」 について 「 そのタイミングで 」 知っていたのかと言われれば、承知をしておりません。
となっている。一般論として答えた、というわけだ。
そんなことは石橋議員は尋ねておらず、野村不動産の事案について、過労自殺とその労災認定があった事実を知っていたかを問うているのに、加藤大臣は、論点をすり替えて、聞かれてもいないことを答えて、あたかも何かを答弁したかのように装っていたのだ。
これでは質疑は成り立たない。
しかし、こういうすり替えが、加藤大臣の答弁には実に多い。
論点がすり替えられていることに、質問者はすぐには気づけない。そのため、すれ違った質疑が続く。時間の空費だ。
しかし、加藤大臣が狙っているのは、まさに、何かを答えているかのように装いながら、実際には何も答えないことと、野党の質疑の時間を空費させることなのだろう。
( NHKの放送に ) 「 ストップ! 詐欺被害! 私は騙されない!」 というキャンペーンがあるが、そんな風に、大臣の答弁の一つ一つを疑ってかからなければならないとすれば、国会質疑とは、いったい、何なのか。 ( 以上、Yahooニュース、5月7日より )
記 : 6月12日
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