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青春VAN日記42

新宿三越の巻 その4 (1975年秋)

売場にあるBGM用のジュークボックスからは、「 木綿のハンカチーフ 」 と 「 あの日に帰りたい 」 が繰り返し流れてくる。きっと女子店員たちがかけているのだろう。
男子店員達がかけるのは、きまってダウンタウンブギウギバンド。毎日毎日同じ曲を聞いているのは、私としては、ちとツライ。
ちらっと手が空いたときにナンバー・リストに目を通してみた。


おお!なぜかフランク・シナトラの 「 フライミートゥーザムーン 」 と 「 マイウェイ 」 が入っている! 洋物は若者たちに嫌がられるかな、と気を使いながらも、4ビートに飢えていた私は、つい曲をかけてしまい聞き込んでしまった。シナトラ&ベイシーとネルソンリドルだった。・・・うーん、ベイシー・ナイヤガラ・リズムセクションの4ビートが体にしみわたるゼ。・・・その時、・・・

 「 君は、シナトラが好きかい?」 突然声をかけられた。

思わず振り返ると、なんと“フロッシャム”、いや紳士服・岡田部長、御本人であった。

シマッター、仕事をサボっているところを見られてしまったー。
・・・怒られる。・・・

「 はい。大好きです。40年代の甘美さ、50年代の哀愁を帯びた良さとはまた違って、豪快にスウィングするシナトラは最高です。とくに、“スプランク・ソニーペイン・フレディーグリーン・ジョージカートレット”の強力なリズム陣との相性・乗りは抜群であります。おまけにアレンジがクインシージョーンズとくれば・・・ 」

「 ちょっと、私の部屋に来なさい。」・・・
( ああ、やってしまった!やばい。首かも? )

まるで新撰組に囲まれた鞍馬天狗のような気持ちで部長室に入っていった。

えーい!先に謝ってしまおう。 「 どーも、すいませんでした。 」

あれ?・・・部長がコーヒーを出してくれた。

「 実は、僕はJazzが大好きでね!とくにシナトラには目が無いんだ。
・・・君とは話が合いそうだ。・・・実は進駐軍の時代に、ジーンクル−パを見た事があってねえ、・・・ 」

「 私は、受験勉強で深夜放送のFENから流れてきたスタンゲッツが最初でして・・・ 」

「 君は映画“グレンミラー物語”を見たかい?あの中のメモリーズオブユーが・・・ 」

「 実は私も、かつて学生バンドにおりまして・・・・・・ 」

もうこうなってくると、とりとめがない。時間も忘れて話し込んでしまった。

そして、「 横田君、いつでもいいから部長室に話に来なさい。君は出入り自由。 」・・・・・・ヤッタ!

私は、部長のトラッド好きが本物であるのを確信した。あれ?私は何しに部長室に来たんだっけ?

売場に戻ると、伊東主任やみんなが心配そうな顔で待っていた。

1対1で部長室に呼ばれ、1時間も入ったまま。そして、にこにこと笑顔で出てきた私を見て、みんなの私を見る目が変わった。・・・ああ怪我の功名。いい部長で良かった。

閑話休題

理想の上役とは?

欧米での上下関係とは表だけの人間関係らしい。そこでは部長と部下とかいう形だけの関係しかないらしい。

しかし日本では、上に立つ人の一番大切なことは、職務上の上役だけであってはならない。広い視野、正確で早い決断、変化に正しく対応する能力、人間評価能力、といった資格だけでは不充分なのである。 
上に立つ人には、人間味が要求される。広い視野、正確で早い決断、変化に正しく対応する能力、人間評価能力、といった資格だけでは不充分なのである。 
上に立つ人には、人間味が要求される。


平社員は自分のことだけ考える。だがちょっと上になり3人でも部下をもったら会社と部下の事をいつも頭におかねばならない。課長で30人、部長で100人、と増えると、次第に、会社と部下を思う量が増える。トップにでもなると“自分”は全く無く、人のことだけ思うのが理想と考えられる。

ここに二人の部長がいたとする。

A
部長は、無理な仕事はいいつけない。無理な怒り方もしない。効果査定も公平である。だが公務を離れると、部下の面倒は見てくれない。

B部長は、無理な仕事もさせる。怒るのも無茶なときがある。査定はときに感情が入る。だが部下の面倒は仕事を離れても良く見てくれる。

あなたはどちらが好きですか?

“赤提灯”での上役の悪口の定番は、「俺という人間がちっともわかっていない」である。

部下が願うのは、「自分のことをわかってくれている」という信頼感である。

西郷さんも、大山巌大将も、山本五十六長官も、長島監督も、石津社長も、まさに好かれる所以である。岡田部長もしかりであった。

それでは反対に、理想の部下とは何であろうか?

能力ある社員は、次の3型に分かれる。

<1型> 尊敬する上司の指導下か、あるいは組織の一員として活躍するとき、その本領を発揮する型である。
若年成功型であり、伸び悩み型でもある。秀吉型。


<2型> 自分自身の責任で行動する時に、その能力を最大に発揮する型。中年成功型。
独立自営、中小企業社長にうってつけ。反面、一匹狼、孤立不満型。信長型。


<3型> 他人を指揮するとき能力が出てくる型。
晩年成功型。大ボス型。家康型。


あなたは何型ですか?・・・(私は、ヤッパリ服装と同じで1型なのかなあ?)

 日本の会社では、年功序列社会だから、1型成功者がそのまま先頭をきりつづけて、管理職、重役、社長になってしまうことが多いが、これは問題なのである。1型がボスに向くとは限らない。3型を作らなくては、300年の歴史は創れない。

年功序列社会からは、徳川家康、西郷隆盛、大山巌、東郷平八郎、は出てこないのである。                                               
                          つづく



上の2枚の写真は、1985年夏、横田氏と私(管理人)などが、石津社長とアメリカに旅に行った時撮影したもの。
場所はニューヨークは確か95丁目辺り、ハーレムまでは行かないまでも、かなりマンハッタンの北の方に有る、知る人ぞ知る、かの 『 マイケルズ・パブ 』 である。

このパブでは1970年代ウディ・アレンが、毎週クラリネットのスイング・ジャズ演奏をしていた事でも知られている。そのパブ内で文字通り “ おのぼりさん ” 丸出しの私は、思わずそこにいた店員に 『 Excuse me. May I take their pictures ? 』 等と臆面も無く頼んでしまったのでした、当然の事、即座にことわられるとおもいつつ・・・。

ところが何と、やさしい店員さんは 『 Sure ! 』 。

一瞬信じられなかった私は再度聞き返し、やっと写真を撮ってもいいんだ・・と自分に納得させ撮影準備に、しかしまさか皆の目前で繰り広げられる生演奏の邪魔をする野暮なフラッシュなど間違っても焚けまい・・と思い、運良く夜間撮影用に用意していったASA1000のコダカラー高感度フィルムで撮ったのが上の写真です。

ところで、Theirとは?
この写真を見ればJAZZファンなら即座に判るだろう、
そう 『 Art Blakey & The Jazz Messengers 』 。


“VAN SITE”SEISHUN VAN NIKKI 42
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