青春VAN日記55
新宿三越の巻 その18(1976年1月末)
<VAN決算バーゲンセール>
さあ本決算の2月も近い。1年間で最も重要な、年度末である。
決算バーゲン、実棚、販売営業会議、予算作成、販売計画書、売掛金回収手伝い、etcと、重要業務が連続して待ち受けていた。
まずは、地下3階特設会場全フロア(新宿三越は地下深くに8階以上もあったのだ)
VAN決算バーゲンセールである。
V社・全ブランド出品の、会社をあげての大セールである。
陣容は
総指揮、戸田営業本部長、VAN高見課長、沢村さん、田中さん、花田さん他多数、Kent下田課長、小島さん、牛田さん、Gant伊東課長、田口さん、Hauser大川課長、関谷さん、宮部さん、マモちゃん
MrVan渡辺課長そしてVansport広瀬課長、MINIBOYs大隈課長、
何とVan Guardsのボス(藤島さん)やスター選手達の顔まで見えている。
すごい!営業オール・スターの出動だ!その搬入作業の大掛かりなこと!VANサービスのトラックを総動員。5t車数台のピストン納品である。夜の新宿裏通りは一晩中大混雑。
会場作りの作業は、すべて閉店後の夜間に行われます。
私達販売員も通常の販売業務を終了してから参加の大作業ですから、その疲労度はかなりのものになります。しかしながらツライと思ったことはありませんでした。
それよりもなによりも楽しかったのです。まるで年に1度のお祭りでした。
VAN営業社員が一堂に会しての共同作業は、それこそお祭りのようで、普段は話も出来ない先輩方といっしょに仕事できることが、こよなくうれしかったのです。
重い荷物も軽々とかつぐヴァンガ-ズ選手達のたよりになること!
作業するV社員達の顔は、皆、働く喜びに輝いていました。
販売員にとっては、「俺もVAN社の1員なのだ!」と実感することができる貴重な時間でした。(あれから30年以上経った今でも、あの熱気を思い出します。)
ベテランVAN社員達の作り上げる売場は、それは見事なものでした。
まるで“ソーホーのギャラリー”のようなバタくさい夢の有るバーゲン会場は、他社には絶対マネの出来ないものです。
そして翌日堂々開店。足の踏み場もないほどの大盛況!
会場に入れないお客様まで出る始末。
そしてその商品量の豊富な事!・・・ついぞ青山P・X(旧・砦)では見たこともない、
買うことも難しいような製品がズラリ!
404のスターリング・シルバー製品から、10万円以上するVANのムートン・ランチコートそして、メンクラ・モデル着用のKentスーツからアタッシェまで、稀少品がズラリ!・・・
・・・う!・・これは販売している場合ではない!自分の買物をしなくては!
(これがVAN大好き社員の欠点である)
今回はお客様のためのバーゲンであり、本来は社員の買物など許されないのだが、私は上司のいつもクールな下田課長を拝み倒して、なんとかVANムートン・ランチコートを手に入れたのでありました。
土・日に渡って繰り広げられたバーゲンは大盛況で終わりました。
・・・しかし、私には心の隅に微かな疑問が生じました。
なぜ、在庫がこれほどたくさんあるのだろうか?
限られたファミリー対象のクローズド・バーゲンではなく、一般消費者対象に、これほど大規模な値下げバーゲンをやってよいものだろうか?
期中に正価で買ったお客様はどう感じるだろう?
ブランドのイメージ・ダウンをまねくのではないか?
自分の首を締める事にならないだろうか?・・・
(そして、この頃から、V社営業規模の拡大にともなって、
VANバーゲンは、いっそう盛んになっていくのでした。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく
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