続・青春VAN日記31
ヴァンカンパニーの巻 その15(1982年2月)
<ヴァングループの初社員旅行A>
昨年の“ヴィーナス旅行”では、ニューヨーク、ニューオリンズ、ロスと3都市のブルックスブラザース店を見て廻った私であったが、その店舗の“重厚さ・ディスプレイ・品揃え・レイアウト・販売スタイル・アプローチ・接客技術・会話・笑顔”はさすがに勉強になった。
やはりブルックスはブルックスだった。
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伝統の東部と比較すると、西海岸のトラッドは華やかできれいだった。
サンフランシスコのケーブルカーC店、エディバウアー店も良かった。
ヘビアイの王者、ノースフェイス、シエラデザインも素晴らしかった。
さてSHOP研究の店めぐりは、何よりも私達に空腹をもたらした。が、アメリカでハンバーガーやホットドッグというのもつまらない。しかしレストランではメニューを見て注文するのに一苦労してしまう。
そこで日本の庶民代表の藤代先生と私は、スーパーマーケットに入り、見慣れないパッケージの食料品をしこたま買い込むのであった。果物・ヨーグルト・サンドイッチ・飲み物・菓子・・等。
そして、二人はアメリカの“庶民の味研究会”を、ゴールデンゲートパークのベンチにおいて開催した。公園の鳩達が多数参加してくれた。
ランチの後は、港のアンティークショップで持てる英語力を“苦使”? して買物をした。 (・・・CAN YOU HELP ME?)
(・・先生のJack&Betty英語力のお世話になりました。)
記憶の底にあった英単語を総ざらい苦使しての買物は実に楽しかった。
(Iwant to buy itは通じなかった、I’ll take itだった)
真鍮製の自由の鐘、サンフランシスコ古風景の絵、アンティーク小物類等を購入した。(これらは後日、青山Kent-Shopのディスプレイ品となった。)
4日目は、ブラザース・フォーにも歌われるサンフランシスコ湾をぐるりと廻って、おしゃれなサウサリートにドライブであった。
まるで油壷か葉山以上のリゾートであった。・・・が、私達には、お金持ちの別荘やクルーザーに対する趣味は・・・無かった。
・・・豪壮な別荘やクルーザーを見ると、一同は急に黙りこくってしまう。あこがれよりも、萎縮してしまう。ひがみっぽくなってしまう。
・・・豪華な大邸宅のシャッターが下りているのを見ると、「来るお金がないんじゃないの」「別荘建ててお金尽きたんだよきっと」「ローンが大変だろなあ」・・・?
・・・小さな別荘を見つけると、「こんな小さいんじゃ、持ってたってしようがないだろ〜に」「こんなのなら、オレいらない」・・・?(持ち主が聞いたら怒るぞ)
どこまでいっても、日本国庶民のV社メンバー達であった。
私には、湾内の旧海軍潜水艦や第7機動艦隊のほうが面白かった。
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5日目は待望の“グレイ・ライン風大型バス”による片道400kmのS・F〜リノ間・北アメリカ大陸 “VAN社員東へ”ドライブである。
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(アメリカの大型バスは、日本のバスとはエンジン音が違う。この大型エンジンのサウンドが、FMから流れるマウントバーニーや荒野の景色とあいまって旅の旅情を盛上げ、実に心地良かった。)
途中、西部開拓史のゴールドラッシュの町“サクラメント”に立寄った。市立博物館で膨大な開拓資料を見学。昔TVで見た“ローハイド”や“幌馬車隊西へ”、“米国横断鉄道建設”の西部劇がよみがえってくる。市内には西部開拓史時代を再現した大きなウエスタン街があった。
OH!本物の西部劇の世界だ!気分はすっかり“ジョンウェイン”。
(・・・ああ!あのウエスタン好きだったVAN販促の皆さん方と、ここで1日中“西部劇ごっこ”をしたらどんなに楽しい事だろうか!)
(ガンショップにあった本物のコルト45ピースメーカー!そしてウインチェスターM73!・・・あ〜欲しかったなあ!)
そして一行は雪積もるシエラネバダ山脈を越え、もう一つのラスベガスと呼ばれる、歓楽の街“リノ”に到着するのであった。
・・・小さなスイングドアを押して酒場に入ると・・・、
「おい、おめえさんたちは、いってえどこから来なすったんだい?」
「俺たちゃ、はるばるサクラメントから来たのよ。」
「あんた方、途中でシャイアン族に襲われなかったかい?」
「俺の早撃ちは天下無敵よ!俺には怖いものなんかネエのさ」
「おい親父、一杯くれ!ダブルでな。」
調律のいいかげんなホンキートンク・ピアノの調べに乗って、カウンターの上を、ショットグラスが流れるように滑ってくる。
「ウッ、ペッ、親父、ずいぶんと安酒を飲ませてくれるじゃねーか」
「なんだと、お客さん、うちの酒にケチをつける気かい! おもしれー、いい度胸だ、表へ出ろ!」
「待ちなよ、あたいの前で喧嘩は許さないヨ。それより兄さんいい男ね、どお、あたいと遊ばない?」
「ヤメロ!ドロシーは俺の女だ!俺の女に手を出すんじゃあねえ!」
思わず手にした男のライフルを、コルトが火を吹き弾き飛ばした。
「てめー、このヨソモノ野郎が!」
・・・そして酒場の中は大乱闘となるのであった・・・・。
(おーい、だれか妄想の世界を止めてくれー)
「ところでお客さん、今日の泊まりはどうなさるんで?」
・・・私達が宿泊したのは、ハーラーズ・ホテルであった。
さすがリノ。入口をはいると広大なホールにはスロットルマシーンが林立し、上部階には馬鹿でかい“カジノ”(公営賭博場)があった。
私達は、さっそくドレスアップして意気揚揚とカジノへと向かうのでした。(※、私は日本では賭け事は絶対しません。)
すげー!金髪のバニーガールだ!場内には多数の美女が!しかも彼女達の配る酒は全て・ウエルカムサービスドリンク!
君塚さんも邦男ちゃんも今度は“ジェームスボンド”に大変身。しかし、“和製ボンド”達は、ルーレットでもポーカーでもボロ負けし、“焼津の半次”(素浪人月影兵庫)同様のスッピン状態になったのです。
逆に、正月のこたつポーカーでも勝った事が無い私がスロットルマシンのレバーを引いたところ、OH MY GOD! 出るわ出るわ!コインがザクザク!思わぬところで小遣い銭を稼いでしまったリッチな私は、これから深夜のMGMホテルで開かれる美女達のレビューショーを見に、喜び勇んで出掛けるのでありました。
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まるでベガスのごとく夜空に膨大なネオンが輝きまくるMGMホテル。
ステージを前にしたテーブル付きのボックスシートに腰を落ち着けると、網タイツの太股もあらわな金髪バニーガールのドリンクサービス!
「おお!ここは天国か極楽か!」
マティ二−、ジントニックの“ワンモア”“ツーモア”“スリーモア”。
照明がライトダウンすると、ステージにスポットライトが当たり、万華鏡のようにキラビヤカなショーが始まった。
“LADYS AND GENTLEMAN,WE PRESENTYOU・・・”
すごい!英語の司会だ!(・・・?)
あまりにも素晴らしい本場のショーステージだ!
タイトルは“HOLLYWOOD STORY”だったかな? いいねえ!
ステージでは、七色の照明に浮かび上がる美女また美女!なんと空中にもゴンドラに乗った美女また美女が!すげー!金髪の踊り子達のなんたるスタイルの素晴らしさ!
テーブルの下に一眼レフ(アサヒ・ペンタックス)を忍ばせ、ファインダーも覗かず
フラッシュ無しで撮影したものだから、こんな写真に。
ステージまでの距離はおよそ20m !!
ショーは悪女軍団に対抗する銀髪の善女軍団(写真に辛うじて写っている)
の戦いの場面・・・・・のはず。 |
お馴染のミュージカルナンバーが次から次へとメドレーで登場!唄とダンスのその見事さ、あまりにも華やかなステージ!
“ショーほど素敵なものはない”の世界だ!
本場のレビューに心奪われ、すっかり酔いしれた私でした。
リノはまさしく不夜城でありました。(・・・よかったあ!)
Harrah's Hotelからのリノの夜景と
ホテル内のショーの告知板
左カントリーのバーバラ・マンドレル、右シャロが出演。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく
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