続・青春VAN日記40
ケント社の巻 その7(1982年)
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<青山トラ次郎・営業旅情⑥> |
西鉄は通勤電車でもあるので、さすがに柳川駅は市街地に存在した。
近郊都市型の駅を出ると、新鮮そうな鮮魚店がまず目に入った。
夕方前のお買物客達でにぎわう鮮魚店の店頭は、私にとっては珍しい海の生物を展示する水族館に見えた。
おもわず足を止めて、初めて見た有明海の魚貝類に見入ってしまった。
店頭は、関東では見たことも無いような魚貝類のオンパレードだった。
ムツゴロウぐらいは知っていたが、他は全く分からなかった。いそぎんちゃくのようなもの、まるでホーデンのような長い変な貝、靴の底のような形のヒラメ風の魚、・・・ウヒャ-なんだこりゃー!
“柳川に美味い物あり”とは牧尾社長のつれづれ話に聞いてはいたが、
あまりにも微妙な姿の生物達。
(メカジャ、ワラスボ、クツゾコ、ワケノなんとか・あな珍しや!)
K-PORT様は、水郷めぐりの川船乗り場のすぐ近くに在った。
昔懐かしい旧型の真っ赤な郵便ポストが目印だった。
牧尾社長のお話では、オーナーの高須啓治さんは元VK社員であり、九州営業所NO,1の販売売上社員であったが、倒産後独立されたとのことであった。いわば私の先輩社員であった。
12坪程のお店には、懐かしき四角形の旧VAN看板と新丸型VAN看板。
・・Kentの御神体看板もあった。おもわず両手を合わせる。
店内の品揃え、商品ラインアップ内容を覗かせて頂く。ボタンダウン、ポロシャツ、トレーナーなどの商品に混じって、店内壁面にはなんとアルテックかタンノイらしきスピーカシステム。
カウンター廻りには懐かしい60年代小学校使用の木製椅子。駐車場には頑丈そうな骨董品VOLVOの乗用車・・・。
・・・これはもう名刺を頂く必要も無い!まぎれも無い同好の士だ!
“いらっしゃいませ”
出迎えてくれた高須さんを見て驚いた!まるで“華は立花”と見まごうばかりの好男子であった。
今で言うなら福山雅治か、往年の草刈正雄と並べても遜色なかった。これでは、天神NO,1であったのも、さもありなん!
(※あれから20年以上お会いしていないので
現在は責任持てません。)
1980年代の高須氏 |
お話してみると、“少年ジェット”のように明るく元気で正しい心。触れ合った人を笑わせて元気にさせるお人柄。お客様達に喜びを売る接客スタイル。
それは間違いなく、永遠のVAN 1型社員のお姿でありました。一目でその人間性を信頼させる高須さんには、詳細な契約内容の確認などは必要ありませんでした。
そして、VAN営業史にその名を残す完璧な“お支払い”と1点たりとも返品しない“正確な発注”。“Ⅴ社伝説のお取引先店”と詠われる歴史が始まるのでありました。
“敷島の大和心を人問わば 朝日に映えるK―PORT”
その信用は海よりも深かったのです。
そして、K―PORTさんは、そのお人柄のゆえにその後の、石津会長・牧尾社長を始め、VAN東京営業社員達の九州出張での憩いのオアシスとなるのでした。
私などは、お宅に泊めさせて頂いたのみならず、水郷めぐりはさせて頂くわ、うなぎのセイロ蒸し、めかじゃ・わらすぼ・くつぞこ・かつカレーは御馳走になるわ、“ライムライト店”でカラオケさせて頂くわ、夏は商談もしないでプールに行かせて頂くわ・・・、
(本社には報告出来ない珍談は山のように有りますが、また後日!)
想い出しても楽しかった、柳川での思い出のかずかず。
高須さん、本当にありがとうございました。
OASIS "K-PORT" |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく
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