続・青春VAN日記100
ケント社の巻 その67(1985年夏)
<アイリッシュセッタークラブ・アメリカ横断旅行①>
1985年8月17日、第3回アイリッシュセッタークラブ旅行は、例によって松屋トラベルサービス様のセッティングとご案内で始まった。
箱崎エアシティターミナルに集合したメンバーは、次の皆様方だった。
自己紹介からツアーはスタートした。
石津謙介会長
「・・・ところでなんだ、今回のメンバーは見たような顔ばっかり並んでいるじゃないか?一般公募の方が少ないようだが・・・?
いったいこれはどうしたことだ?・・・(一瞬、全員が固まる。)
松屋さんの怠慢じゃないのか?・・・(緊張する大泉さん。)
・・まあ、年寄りの独り言はさておいて・・・(全員、ホッとする。)
(※ドキッとさせて引き込む、いつもの会長のテクニックでした。)
・・・さて今回は、アメリカ旅行の次第となった訳ですが、アメリカと言えば、これはもう言わずもがなで、皆さんそれぞれに青春の思い出や思い入れがたくさん有るにちがいない。
僕も天津にいた頃、プリンストン大出身のMPオブライエン中尉と知り合い、アイビーリーグの話を聞かされて憧れを抱いていた、かのアイビーの地を初めて訪れたのは、1959年の事だった。
それから、いったい何回アメリカの地を訪れたことだろうか。
一昨年も“石津謙介のNEW IVY BOOK”
の取材で
(※別冊HOT DOG PRESS 副題・林田昭慶のBACK
TO IVY) |
林田さんや花房さん達と、東部のアイビー各大学をひさしぶりに訪れて来た訳ですが、日本のようなピュア・アイビーこそ見かけなくなったものの、そこには変わる事の無いトラディショナルな世界が存在しました。
今回は、皆さんそれぞれの青春のアメリカと、現在のアメリカを比較してみるのも面白いでしょうし、又、東部・南部・西部の風土や味覚の違いを味わってみるのもいいでしょう。
そんな訳ですが、どうやら今回は身内の関係者が多い様なので、“皆さんの顔ぶれを見て”・・・、旅行のテーマは“食べ物と音楽”を中心に考えようと思います。
服飾やファッション関係の見聞は、皆さん業界のプロでしょうから、かまわずにそれぞれ自由にやって下さい・・・。」
花房孝典氏(講談社ホットドッグプレス創刊プロデューサー)
「 ホットドッグの花房でございます。僕は、高校2年のときにVANに強い衝撃を受けて、それ以後 石津先生に傾倒してゆきました。
ちなみに、初めて買った VAN製品が、ハーバード大のロゴ入りトレーナーとタオルでした。
慶応在学中に足を運んだ石津謙介講演会で初めて言葉を交わし、V社に近かった友人の景山民夫の青山事務所を訪れるにつけ、“石津謙介と共に仕事をすること”が人生の究極の目的になりました。
そして、“ホットドッグプレス”・“石津謙介オールカタログ”や、“石津謙介のニューアイビー教科書”の制作で念願を果せました。
私は仕事の関係でニューヨークには20回ほど訪れていますが、“今回の旅行目的”は、石津先生と飯を食べに行くことです。去年のイタリア旅行でお会いした方もいらっしゃるようなので旅行中のお付き合いの程よろしくお願いします。」
清徳宣雄氏 ㈱ケント専務
「私にとってのアメリカとは、ジャズでした。学生時代にはコンボを組んでトランペットを吹いておりました。サッチモの暖かい人間性、クリフォードブラウンの芸術的ソロ、マイルスのエクストリームなブラック・アイビー、MJQやアートファーマーのスーツ姿にも憧れました。
そんな事でアメリカに興味を持ちVANに入社しましたが、アイビーキチガイの横田からは“セイトク・ラッパ”などと呼ばれております。・・・今回はラルフのPOLO・SHOP本店をじっくりと見学させて頂き、トラッドの本流を研究したいと思います。またNYのジャズクラブを訪れてみたいと思っています。」
藤代幸至氏 ㈱イン・コーポレーション
「現在は、元V販促・若林部長の所に居りまして、ケント社のお手伝いをさせて頂いております。清徳専務・横田君とは元V同期です。
私は、新V社の西海岸社員旅行にも同行させて頂きましたが、心はいつも、永遠のV社員です。
今回、ニューヨークではマジソン・アベニューの有名店だけでなく、歴史のロワ―マンハッタンやソーホーでの新しい文化の動きや、安全になったというヴィレッジやハーレムも見てみたい。
もちろん、ニューヨークやニューオリンズで、本場のジャズをぜひ体験してみたいと思っています。
なお、私はサンフランシスコで皆さんとはお別れして、ロスに居る若林さんの弟さんに会いに行きますので、皆様とは、途中で失礼致しますがよろしくお願いします。」
嘉手苅康夫氏(那覇アイビークラブ会長)
「めんそーれ。今回は横田さんに声をかけて頂き参加しました。海外旅行は、最近友人達とヨーロッパに行ってきましたが、アメリカは、実は今回が初めてなので、BROOKS・BROTHERS、J・PRESS、CHIPP、POLOにはぜひ行ってみたいと思っています。
それと、私もアイビーとジャズが大好きなので、ぜひジャズの生演奏を聴きに行ってみたいと思います・・・。」
※ここで、石津会長の声が入りました・・・、
「そうか!君達はジャズが目的なのか、それでニューオリンズなんだな?
すると、ファッション目的の方は誰なんだ・・・?」
「㈱ドゴールで、ケンコレクションの企画をしております富沢です。
74年VAN入社で、池袋西武に配属されておりました。
思い起こせば、入社時の池西のKent店長が横田さんでした。そして次の年の池西VAN店長が現在のドゴール社長の愛甲です。
昔は、お二人には池袋でいっしょに遊んでもらいました。旅行では最新のNYファッションをしっかり勉強したいと思います。
今回は愛甲にかわってよろしくお願いします。」
「㈱ロッキンガム・ファソナブルの松屋様担当の富岡と申します。
先週、大泉課長から突然に旅行に参加するようにと言われまして、参加させて頂く事になりました。ニューヨークは初めてなのですが、会社からは何でも見て来いと言われ、張り切ってまいりました。
今は会社こそ違いますが昔はV社のボタンダウンを着ていました。
石津先生とご一緒できる事は光栄です。よろしくお願いします。」
・・・そして、
「今回も、ツアー旗持ち添乗員の銀座松屋・大泉でございます。
会長のおかげをもちまして世界の名門百貨店を勉強させて頂いております。前回はロンドンの名門店ハロッズを訪問しましたが、今回は・・・、“ここにコーナーを持てば一流デザイナーの証し”と言われる “ブルーミングデールス”や“サックスフィフスアベニュー”のPOLO等の各ブランドショップの展開を勉強し、世界一の規模を誇る“メイシ―ズ”では“木製エスカレーター”を経験してみたいと思います・・・。
旅行中の御相談は、なんなりとお申し付け下さいませ・・・。」
かくして盛り上げ係長横田と参加女性2名様を加えた御一行は、成田空港でユナイテッド・エアラインのジャンボ機に搭乗し・・・、
(※この年、あの“兼高かおる世界の旅”の想い出のパンナム航空は・・・業績悪化となり、太平洋航路はユナイテッド航空に吸収された・・嗚呼。)
塗装も新たとなったUA802便ジャンボ機は、憧れの都市、紐育・ケネディ空港目指して飛び立つのでありました。
|
機内の石津会長と嘉手苅氏 |
|
|
見たような顔の参加メンバーたちと会長 |
|
|
Mr,Bean のように、真ん中に写り込むのは、那覇アイビークラブ会長
と、なぜか、右に傾く二人 ( 信条はリベラル?? )。
うしろは、ハリケーン・カトリーナの被害を被った“ポンチャートレーン湖” |
|
|
NewYork 5th Ave、CATTLEMAN RESTAURANTにて、専属の歌姫と・・・
この店は1989年に、残念ながら
その35年の歴史に幕を閉じてしまったらしいです。 |
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく
|