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続・青春VAN日記43

ケント社の巻 その10(1982年)
<青山トラ次郎・営業旅情⑨>

“長崎は今日も晴れだった”

快晴に恵まれた西彼杵半島。

今日の目的地は、佐世保かねやす、藤山店長である。


さて、この入り組んだ大村湾地帯、どうやって佐世保まで行ったものか?あの曲がりくねった長崎本線で行くには諫早まで戻らなくてはならない。また、時間がえらく掛かりそうだ。うーん・・・。


『そうだ!今日は天気も良い事だし、鉄道は飽きたからバスで行ってみよう!』



長崎駅前から西海経由佐世保行・高速バスに乗った。
それにしてもこの地には平野が全く無い。上り下りの坂道ばかりである。狭い土地だけにサンフランシスコよりも過激である。これでは長崎市内に自転車の姿が少ないのも当然だ。(荷物を抱えた営業マンにとっては地獄の徒歩行軍である。)


バスが高台を走りだすと、遠く湾内には三菱重工長崎造船所が見えた。
・・・おー、あれがあの不沈戦艦“武蔵”が建造された場所か・・・!


(例によって、私は妄想の世界に入り込んでしまった。)


・・・1944年、1017日。


帝国海軍が乾坤一擲(ケンコンイッテキ)と銘うった有史以来最大の海戦・捷一号作戦(比島沖海戦)が開始された。


1023日、一機の航空機援護もない栗田第二艦隊は、旗艦愛宕、大和・武蔵以下39隻に、二万五千の将兵を乗せて、輪形陣を組み、パラワン水道からシブヤン海をひたすらに進んでいた。

天神・福ビル以上の高度にある“戦艦武蔵”の防空指揮所では、見張り員達が大型双眼望遠鏡を凝視していた。

1024日、一〇三〇.
連合艦隊の動きは、すでにハルゼー機動部隊に察知されていた。

大型空母13隻、新鋭戦艦6隻を含む80隻の「史上最大最強艦隊」からは、大攻撃機部隊がすでに発進していた。


・・・「艦首方向、敵機らしきもの発見!」

「グラマン二機、左二十五度、高度八度、距離五千、右に進出」
「今の目標は五機・・・十機以上・・・三十機以上・・・!」


間髪をいれず武蔵艦長・猪口敏平少将は「対空戦闘」を下令!

「取り舵一杯!」 「よーそろー!」


戦闘ラッパが鼓膜をつんざき、増速された艦橋には白波のしぶきが届く。

一二,七cm高角砲、二十五mm十三mm機銃群、がいっせいに指向する。


「三機編隊四つ、高角七〇、白い雲の上!」
「一二機、いや二十数機、こちらに向かってくる。」
「なお後続発見、五十機以上!」

「・・・敵機は百機以上!距離四千、突っ込んでくる!」

高射指揮官が測距を命じる。「今三八〇、三六五、三三九、・・・」

「独立砲撃始メ―!」「ッテ―!」


その刹那であった。巨大噴火の如き轟音が轟いた。第一波来襲の雷撃機に対して、不用意にも、四十六センチ主砲が三式対空弾を発射したのである。

武蔵は対空砲火を強化するため百二十門の機銃座を増設していたが、主砲射撃の爆風は、多数の機銃員を吹き飛ばし、機銃座はガタガタになった。

よりによって自滅行動、
・・・猪口艦長は何故?一体誰の指示か?


必死に続ける回避行動も虚しく、米艦載機五波300機は無防備となった武蔵上空を自在に乱舞し、アベンジャーの魚雷、ドーントレスの急降下爆弾は次々と被弾した。

十九発の魚雷・十七発の爆弾を受けた武蔵は、艦隊から落伍した後、夕刻、シブヤン海の底深く沈んだ。(私の好きな鳥海、愛宕、麻耶も!)


その時、ハルゼーは小沢機動部隊出現の情報に、目標変更し北上。

この日、にわかに途絶えた空中攻撃に栗田艦隊の一難は去ったが、翌25日、西村艦隊、志摩艦隊、はスリガオ海峡に待ち構えていた“真珠湾から甦った強力な戦艦部隊”と交戦して全滅。


小沢空母機動部隊も、対ハルゼーおとり作戦成功と引き換えに全滅。

しかし栗田艦隊は、がら空きとなったレイテ湾のマッカーサーを目前にしたにもかかわらず、「天佑ヲ確信シ全軍突撃セヨ」の連合艦隊豊田司令長官電命にもかかわらず、旗艦大淀、大和以下“謎の反転”をすることになるのである・・・。

“浮かべる城ぞ頼みなる”「不沈戦艦武蔵」も航空攻撃には無力であった。

・・・大海軍・連合艦隊は消滅したのであった・・・。



かつて武蔵が進水した時、あまりの大型艦のため湾内の水位が上昇し、長崎湾には津波・水害まで発生したそうである。

年間国家予算にも匹敵する建造費を掛けた巨大戦艦も、たった一日にして消滅し、あまつさえ一大都市・長崎も一発の原子爆弾で壊滅した。




嗚呼、戦争とはなんと虚しいものであろうか・・・。




五月晴れの強い日差しが窓から射し込んで来る。

それにしても、この地はなんと風光明媚であることか!

バスの車窓から望む景色は、新緑に輝く大パノラマの連続である。が、西海が近づくと、なんともトテツも無いものが眼に入ってきた。

「なんだあれは・・・!」

巨大な物が天高くそびえ立っていた。しかも3本も!
まるで“孫悟空が飛び越せなかった巨大な大日如来の手”の様な異様な風景だった!

こ・・、これは、もしかしたら、あの「ニイタカヤマノボレ1208」で有名な、日米開戦・真珠湾攻撃の電文を送信したといわれる、帝国海軍佐世保巨大電波塔ではないか?!

なんという奇遇!

かつて読んだ戦記物でしか知らなかったその実物を見た私は予期せぬ景色にすっかり興奮してしまった。

息つく暇も無く、続いて絶景の大パノラマが眼に飛び込んできた。
“絶壁の崖に掛かる巨大な鉄橋!”
目もくらむ高さのその橋下には、渦を巻く鮮やかな緑紺の海!

ム!これは!これはまさしく「大怪獣ラドン」が破壊したはずの「西海橋」ではないか!いったいいつ復活したのだ?


・・・1956年?大阿蘇の噴火口から復活した大怪獣ラドンは、何故か西海に飛来したのだった。

迎え撃つ航空自衛隊F-86Fセイバー機はまったく歯が立たず、ラドンの起こした強風によりまるで日模プラモデルの様に鎧袖一触(ガイシュウイッショク)され、陸上自衛隊のブルドック中戦車も、田宮の1/35モデルの様に吹き飛ばされるのであった。(国産61式中戦車採用以前の事だった)

(小学生の私は手に汗を握って見た!トイレに行けなくなった!)

そして博多に上陸したラドンは岩田屋を破壊し、玉屋を踏み潰し?
天神一帯を火の海に・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・、


(おーい、どなたか、いいかげん妄想を止めてくだされー!)



それにつけても、1941128日、連合艦隊旗艦“長門”より発信した開戦の電文を、太平洋上の南雲機動部隊に向けて発信したと言われる“針生の大送信所”!

そして大怪獣ラドンが破壊した“西海橋”
これらは国立博物館で初めて本物の“零戦”A6M5中島製を目にした時以来の感動だった。


・・・今日は、バスにして大西海(大正解)だった! 




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つづく









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